2024年の新語・流行語大賞の表彰式が12月2日に行われ、TBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』の略称「ふてほど」が年間大賞に選ばれました。しかし、その裏でSNSを中心に奇妙な現象が発生しています。「ふてほど」が「不適切報道」の略称だとする意見が拡散し、いつしか「不適切報道」自体がトレンド入りする事態に。この記事では、この現象の背景や元ネタ、さらにSNSの反応について徹底的に調査しました。
1. 「ふてほど」って何?流行語大賞選出の経緯
「ふてほど」とは、2024年に放送されたTBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』の略称。このドラマは、昭和からタイムスリップして令和にやってきた男性が、令和では「不適切」とされる言動を繰り返しながら、現代社会のコンプライアンス文化を風刺するコメディーです。主演の阿部サダヲさんと、脚本を手がけた宮藤官九郎さんが所属する「劇団大人計画」のユニークな演出も話題となりました。
表彰式で主演の阿部サダヲさんは「正直、『ふてほど』って自分たちで言ったことない」と語り、意外性を隠しきれない様子でしたが、「ドラマ全体が評価されたのだと思う」と喜びを表しました。
2. 「ふてほど=不適切報道」説が浮上した理由
「ふてほど」という略称が不適切報道を指しているという主張が広まった背景には、いくつかの要因が考えられます。
ニコニコ動画でのコメント発端
「ふてほど」の流行語大賞受賞を受け、ニコニコ動画で「不適切報道の略じゃないか?」というコメントが流れたことが最初のきっかけのようです。コメントがスクリーンショットとして拡散され、SNSでも一気に注目を集めました。
SNSでの「オールドメディア」への不信感
近年、特にX(旧ツイッター)では、いわゆる「オールドメディア」に対する不信感が高まっています。報道内容の信頼性や公正性が問われる中で、「不適切報道」という言葉が皮肉的に受け入れられたようです。「ふてほど」がドラマの略称であるにもかかわらず、現代社会を象徴する言葉として再解釈されたのです。
3. SNSでの反応と広がり
Xでは、「ふてほど=不適切報道」説があっという間に拡散しました。具体的な投稿内容を見てみましょう。
- 「流行語は『ふてほど』のままでいいけど、意味を『不適切報道』のことだと定着させてしまえばいいんじゃないか。」
- 「今年の流行語、『ふてほど』が『不適切報道』を指すなら納得しかない。」
- 「この流行語、『不適切報道』の意味で使う未来が見える。」
多くの投稿が皮肉やユーモアを交えながら、流行語の本来の意味を「不適切報道」に置き換える動きを示しています。
4. ドラマと現実が交錯する「ふてほど」の意味
『不適切にもほどがある!』というドラマは、時代のギャップや現代社会の「不適切」をコミカルに描いた作品でした。一方で、「ふてほど」を「不適切報道」と解釈する動きは、現代社会におけるメディアへの不信感や風刺精神を象徴しているようにも見えます。
表彰式で阿部サダヲさんが語ったように、制作側は「ふてほど」という略称を意識していませんでした。しかし、それがかえって、視聴者やSNSユーザーにとって「自分たちで意味を解釈できる言葉」として魅力的に映ったのかもしれません。
5. 「ふてほど」が示すこれからの流行語のあり方
今回の「ふてほど」現象は、流行語の選出における意味づけが、多様な文脈で再解釈される時代を象徴しています。SNSや動画配信サービスのコメントを起点に言葉の意味が変化し、それがトレンドになる現象は、インターネット時代の新しい文化とも言えるでしょう。
- 流行語の民主化
これまで流行語は、ある種の「権威」によって選ばれてきました。しかし、今回のようにユーザー主導で意味が変わる現象は、流行語の民主化とも呼べるかもしれません。 - 風刺とユーモアの融合
「不適切報道」のような皮肉を含む解釈は、現代社会における批評性の表れです。SNS時代では、単なる言葉遊び以上の意味を持つようになっています。
6. まとめ
「ふてほど」が流行語大賞を受賞したこと自体は、ドラマ『不適切にもほどがある!』の成功を象徴するものです。しかし、「ふてほど」を「不適切報道」と再解釈する現象は、現代社会のメディア不信やSNSの影響力を浮き彫りにしました。
これからの流行語は、発信者だけでなく受け手によって自由に解釈され、その意味が変わることが当たり前になっていくでしょう。「ふてほど」はその先駆けとして、2024年の象徴的な言葉として語り継がれるかもしれません。